活動方針

 当協議会は、ドライブレコーダーを活用した交通事故や交通関係トラブルの予防、早期解決などを通じて、安全で安心な交通社会を実現するため、ドライブレコーダーの普及及び利活用を幅広く総合的に推進することを目的としている。

 近年、あおり運転等のルールやマナー違反に対する社会的な関心が高まるとともに、高齢運転者の見守りなどの点から、特にマイカー向け(コンシューマー向け)ドライブレコーダーの普及が急速に進んでいる。従来から普及が進んできたタクシー、トラック、バス等の業務用ドライブレコーダーのみならず、マイカー向けドライブレコーダーについても、運転状況を映像として残すことの重要性が社会的に認識されてきたといえる。

 ドライブレコーダーの映像は、公正な事故処理等を効率的に進めるとともに、安全運転を促すことにより事故を予防することに役立っている。また、個別の事故の予防や処理の効率化に資するだけでなく、その映像情報やビッグデータは、社会全体としての交通事故の予防や交通安全の向上に寄与するともに、さらに今後期待される自動運転社会における新たな技術開発の基礎データや自動運転車事故のメカニズムの解明など、新たな役割も期待される。

 こういった社会的な背景を受け、2021年度においては、当協議会が推奨するドライブレコーダーについて、関係する仕様のガイドライン等を引き続き定めるとともに、市販ドライブレコーダーの製品テストの充実・公表により、ドライブレコーダーの基本的な性能、信頼性の向上等を促す施策を推進する。

 また、損害保険会社を中心に、通信機能を備えたドライブレコーダーの普及が進んでいることから、ドライブレコーダーによる各種情報提供や事故自動通報など、テレマティクスやIoTサービスとしての活用についても検討を進める。さらに、社会全体で大量に記録される映像情報のビッグデータの交通安全への活用についても、技術面やプライバシーなどの側面からの研究調査を行い、ドライブレコーダーのさらなる有効活用が図られるよう目指していくこととする。

 コロナ対策として、多人数の会合を避けるため、Web会議を利用することが一般化している。当協議会においても、Web会議により部会活動を再開するとともに、理事会、総会、運営委員会についても、当分の間、Web会議システムにより運営していくこととしている。

2021年活動計画

「ロードマップ」の作成

 ドライブレコーダー普及の背景となっている映像情報化社会と自動運転時代の到来を想定しながら、通信型ドライブレコーダーの伸展も見据えつつ、ドライブレコーダー関連製品の発展とドライブレコーダー協議会の活動について、ワーキンググループを設け、中期のロードマップを2021年度半ばまでに作成する。

製品テスト

 2020年度は、当協議会においても、新型コロナウイルス蔓延に伴う緊急事態宣言発令後、3密(密閉、密集、密接)を避ける観点から、会合等はweb会議等に切り換えて活動を行っているが、毎年恒例の「製品テスト」会は、その活動の性格上、会員を招集して実施することになるため、3密の観点からやむなく中止とせざるを得なかった。

 また、活動の推進役である幹事が所属先の人事により部会から離れることとなり、2020年度下期においては活動が停滞してしまった。2021年度は、新任の担当理事のもと、新たに体制を整え、当面続くと予想される新型コロナウイルス環境での「製品テスト」の意義を考え直し、ドライブレコーダーに求められる姿を「製品テスト」という切り口で啓蒙していくという活動も視野に入れたい。

 ワクチン接種が順調に進み、企業活動が以前のように戻るようであれば、恒例の「製品テスト」の実施も考えられることから、その準備と実施できない場合の代替活動も議論して行きたい(一例として、製品テストに用いる機材を参加会員に巡回貸し出しを行ってデータを収集し、集計を行う等)。

 市場に流通する製品について、会員内外を問わず、製品に記載の内容と実機の性能について確認を行う。また、公平かつ効率的に行うため、テスト項目の見直し、必要な機材の導入、改良、テスト方法の見直しも行う(実施対象製品は、会員からの提供及び市場流通品を購入して実施)。

データ活用

 2020年2月以来、わが国で急激に拡大した新型コロナウイルス感染の防止対策上、対面式会議を回避する基本方針維持がそのまま部会活動休止状態に陥った事態を猛省している。現状のコロナ禍は、各種専門的予測では近未来収束の見通しはなく、数年先まで続く見通しなので、オンライン・リモート形式のコミュニケーション方式中心にメンバー相互コラボレーションと創意工夫で諸困難を克服し、内容本位の部会活動を展開する所存である。

 当部会は、映像記録型ドライブレコーダーを駆使した古典的なニアミス分析や事故分析などのReactive(対応型)分析を否定はしない。しかし、それよりも映像と音声の優れた記録機能を活かした数多の危険な走行場面において、咄嗟の機転で安全運転を継続維持したドライバーの事故回避運転技能や運転情報処理術などの創意工夫術を発見することを重視して発足した。正にドライブレコーダーの創造的活用としてのProactive(積極型)分析である。具体的には、会員企業が保有するドライブレコーダーデータから、事故寸前状況で運転者の機転や優れた運転技能で危機を乗り切った事例など、他の運転者に参考になるポジティブ場面の具体的な諸条件の記録・分析を行い、新しい発見を目指している。

 一定数の事例が集まり、横断的意味合いを抽出するなど、積極的成果がまとまれば公開する。なお、この文脈で既に成果を挙げている国土交通省自動車局に設置されたドライブレコーダー関連専門委員会の実績を参考としていることを付記する。

 また、交通事故時ドライブレコーダー買替補償金制度により会員企業から提供されたドライブレコーダーデータの積極的な活用を図るため、補償金規程の見直しを行う。さらに、データ利用における個人情報保護に関する勉強会を企画し、会員の認識を深める。

推奨ガイドライン作成

 推奨ガイドライン作成部会では、基本活動となるドライブレコーダーに関連する機能についてのガイドライン検討の継続、昨年度より重点活動とした救急ヘリ病院ネットワークのD-Call Net研究会との連携、ドライブレコーダーを第2種D-Call Net(後付け自動車事故自動通報システム)に適用する場合における仕様の取りまとめと公表を目指すこととする。

 また、記録媒体(SDカード)、通信、AIについては、技術・情報の共有などを図りながら、今後の活動の方針を探る。その他、新しい技術への積極的なアプローチを行い、ドライブレコーダーの未来の技術・活用などについて、勉強会として会員への提供・共有を図っていくこととする。

ADAS

 咋年度は、2019年度作成のADAS(高度運転支援システム:Advanced Driver Assistance System)ガイドライン(第1次)を見直し、文言の統一や内容の肉付けをし、ガイドラインを8月の運営委員会で完成し、9月2日に国交省に報告した。マーケティング活動はカメラ付きADAS車とドライブレコーダーの実装率を調べた。スーパーの駐車場(休日と平日)と横浜の住宅地での累計626台の調査をした。一方、車ディーラーの店長にヒアリングをし、安全装置が自動運転ADAS、自己防衛装置がドライブレコーダーという分類概念を教わり、最近は両方を付ける新車販売が多いと聞いた。

 次期機能を検討するセミナーは実施できなかったが、部会主催のドラ協全会員に向けたADASセミナーとして、3月26日にADAS機器に関する説明会と昨年無償提供されたADAS機器使用報告会を実施した。

 2021年度はガイドラインのアップデートをしていくこととしている。また、将来のADAS機能付きドライブレコーダーとしてのDMS(ドライバーモニタリングシステム)等の可能性を探るセミナーを開催する。さらに、自己防衛装置としてのADAS機能付きドライブレコーダーのあり方などを検討する。

広報

 2020年度はコロナ禍の影響からマスコミ対応が減少したが、調査会社等を含め、出荷実績、商品動向、市場動向等に関する問い合わせは増える傾向であった。また、国土交通省のドライブレコーダー普及啓発ちらし、普及啓発動画の制作に協力した。

 また、かねてから懸案だったホームページの全面的なリニューアルを2020年度に実施し、会員間の情報共有や、一般の方への情報提供をより活発に行えるようにしたので、2021年度は新しいホームページを活用した活動を軌道に乗せ、協議会の活動を活発化させるための支援を行っていくこととしている。

技術広報

 2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、協議会外部への情報発信(講演、寄稿、情報交換会など)がなく、特筆すべき活動はなかった。

 今後、新型コロナウイルス感染症の状況が好転し、外部への情報発信の機会を得られるようになれば、従前同様に協議会やドライブレコーダー機器、ドライブレコーダーによる映像や事故の分析などの情報を発信していくこととしている。また、広報部会とも随時連携を取って活動する。

「ドラプリ 2021」開催

 昨年のドラプリ2020は、自動車技術会画像情報活用部門委員会の公開委員会と共催により、オンライン形式により開催した。参加者は自動車技術者関係を含めて多岐にわたり登録者数250名強と盛況であった。また昨年は副題を「ドライブレコーダーの過去・現在・未来」として、広く技術の動向と活用の展望について情報交換を行った。

 今年のドラプリ2021は、昨年の経験を踏まえて、よりオープンな情報交流の場としてオンライン形式で開催する。講演内容は、最新の技術動向と活用について、特にAI活用とテレマティックス等を中心に実行委員会で企画する。

個人情報保護

 当会の活動に関し、個人情報保護法第20条の規定に定められた組織的、人的、物理的及び技術的安全管理措置について個人情報保護基本方針を作成し、ドライブレコーダー補償金制度、ドライブレコーダーデータの利用等における個人情報保護を行う。

他機関との連携・協力

 ドライブレコーダーに関連する他機関・団体との連携・協力を積極的に行い、連携すべき各種機関・団体との情報交換の機会を計画的に設けてきたところである。今後は、損害保険関係団体、画像処理団体等との提携を図っていく。

 また、2021年7月7日に行われる自動車技術会映像情報活用部門委員会主催のフォーラム「映像情報活用の最前線」に協賛し、同フォーラム内で、法人会員メーカーのドライブレコーダー紹介を実施する。秋に開催予定の「ドラプリ2021」においても、昨年同様、自動車技術会映像情報活用部門委員会との共催実施を検討する。