初版 2019/03/28 制定/発行
第2版 2020/09/16 改訂/発行
第3版 2024/03/29 改訂/発行

ドライブレコーダー推奨ガイドライン

 

一般社団法人ドライブレコーダー協議会

1.目的

1.1 ドライブレコーダー推奨ガイドラインは、自動車などに設置されたドライブレコーダーによって、交通事故などにおける車両及び車両内外の状況の記録並びに記録されたデータを活用するために必要な事項について、ガイドラインを定めることにより、使用者の利益を守り、もって交通の安全と利便に資することを目的とする。

2.用語

2.1 「ドライブレコーダー」とは、自動車などに装着し、走行中及び停車中の車両及び車両内外の状況の全て又は一部について、映像及び音声並びに必要に応じて信号を記録する車載機器をいう。この場合において、「映像」とはカメラによって取得された連続した画像をいい、「音声」とは車内において聞くことができる音や人の声をいい、「信号」とは自動車の走行速度、アクセルペダルやブレーキペダルなどの作動状況や自動車の位置に関する情報をいう。

2.2 「事故自動通報用通信型ドライブレコーダー」とは、自動車などに設置されたドライブレコーダーが当該ドライブレコーダーの備える通信機能を介して映像、音声及び信号の発信及び受信を交通事故などの発生とほぼ同時に自動的に行うことにより、事故情報をコールセンターなどへ通報し、もって、自動車乗員及び歩行者、自転車、二輪車などの交通弱者に対して適切な救助活動が迅速に開始されるよう通報するために使用するドライブレコーダーをいう。

2.3 「救急自動通報用通信型ドライブレコーダー」とは、事故自動通報用通信型ドライブレコーダーであって、コールセンターなどが映像、音声及び信号を用いて救急自動通報(D-Call Net通報)を行なうことにより消防機関、基地病院などにドクターヘリやドクターカーの早期要請を支援するために使用するものをいう。

3.ドライブレコーダーの基本機能要件

ドライブレコーダーは、次に規定する基本機能要件に適合するものであること。

3.1 ドライブレコーダーは、自動車の走行中及び停車中において、車両及び車両内外の状況が分かるよう映像、音声及び信号を記録するものであること。ただし、事故自動通報用通信型ドライブレコーダー以外のドライブレコーダーにおいては、信号を記録しないものとすることができる。

3.2 ドライブレコーダーは、以下の基本的な機能を有するものであること。

3.2.1 ドライブレコーダーを装着した車両及び車両内外の状況を映像により取得するためのカメラを有するものであること。

3.2.2 3.2.1 のカメラを用いて、カメラからの入力映像を連続して記録するものであること。

4.ドライブレコーダーの必須機能要件

ドライブレコーダーは、次に規定する必須機能要件に適合するものであること。

4.1 前方用カメラアセンブリ

4.1.1 カメラのレンズは、耐熱性があり、1 年程度の使用期間において、変色、変形などが発生せずに性能を維持できるものであること。

4.1.2
記録データは、次の要件に適合するものであること。
 (1) 夜間に自車のロービームのヘッドライトの照明だけを用いた場合において、カメラの前方 30m以内の状況が記録できるものであること。
 (2) センサー及び映像の記録画素数は、30 万以上であること。ただし、事故自動通報用通信型ドライブレコーダーにあっては、ハイビジョン規格以上のものであることを推奨する。
 (3) 毎秒 10 フレーム(10fps)以上のフレームレートで記録する機能を有するものであること。この場合において、同一フレームを複写したフレームは、フレームレートの数に含めないものとする。
 (4) 記録される画角が水平方向で 90 度以上、垂直方向で 50 度以上のものであること。
 (5) 車内の音声の録音ができるものであること。なお、ON/OFF のスイッチ付きとすることができる。ただし、事故自動通報用通信型ドライブレコーダーにあっては、ON/OFF のスイッチ付きとすることができない。
 (6) 映像のファイル間ギャップ(各映像ファイル間の映像が記録されない時間をいう。)が 0.2秒以下のものであること。
 (7) 推奨する性能として、カメラの取付位置から 10m離れた前車の中板のナンバープレートの大きな文字が読み取れ、記録できる性能を有するものであること。

4.2 室内用カメラアセンブリ

室内用カメラを備える場合は、次の要件に適合するものであること。

4.2.1 カメラのレンズは、4.1.1の要件に適合するものであること。

4.2.2 記録データは、次の要件に適合するものであること。
 (1) 夜間において、室内の乗員の状況が記録できるものであること。
 (2) 4.1.2(2)から(6)までの要件

4.3 電源

4.3.1 電源は、主電源が瞬断した場合において、記録中のデータを保護することができるバックアップ機能を有するものであること。

4.3.2 アイドリングストップ機能付き自動車の DC12V 電源にあっては、車両からの動作電圧が瞬間的に 6V 程度まで低下しても、録画が途切れないものであること。

4.4 装置に内蔵された RTC(real time clock)は、時刻の補正が可能なものであること。

4.5 取付状態

4.5.1 ドライブレコーダーを車両に取り付けた状態において、道路運送車両の保安基準(昭和 26 年運輸省令第 67 号)第 29 条に規定する窓ガラスの基準を順守できるものであること。

4.6 その他

4.6.1 製品の表示言語は、基本的に日本語であること。

5.ドライブレコーダーの必須表示要件

ドライブレコーダーは、次に規定する事項を本体又は取扱説明書に表示したものであること。

5.1 車両前方の映像を録画するデータについて、ハイダイナミックレンジ(HDR)機能又はワイドダイナミックレンジ(WDR)機能の有無を記載したものであること。

5.2 電源

5.2.1ドライブレコーダーの電源の電圧及び当該ドライブレコーダーを使用できる自動車の電源の電圧を記載したものであること。

5.2.2 補助電源(内蔵電源)について、コンデンサ、リチウムイオン電池など、電源の種類などを記載したものであること。

5.3 記録媒体

5.3.1 内部記録媒体について、記録媒体の種類と容量を記載したものであること。

5.3.2 外部記録媒体について、記録媒体の種類と容量、本体との通信に関する注意などを記載したものであること。

5.3.3 メンテナンスの必要性、記録媒体自体の寿命など、その他取扱い上の注意事項について、ユーザーに理解しやすいように記載したものであること。

5.4 記録される映像及び音声のコーデック及びファイル形式を記載したものであること。なお、特殊フォーマットを採用している場合には、その旨を記載したものであること。

5.5 専用再生ソフトを使用する場合には、その動作環境を記載したものであること。

5.6 推奨される取付場所について、図解により記載したものであること。

5.7 その他の表示事項については、一般社団法人ドライブレコーダー協議会の「ドライブレコーダーの表示ガイドライン」に準拠したものであること。

6.ドライブレコーダーの付加機能要件

ドライブレコーダーは、次に規定する付加機能を有する場合には、それぞれの機能要件及び表示要件に適合するものであること。

6.1 簡易型ADAS機能

6.1.1 簡易型ADAS機能は、次の要件を満たすものであること。
 (1) 簡易型ADAS機能は、車線逸脱警告機能及び車間距離警告機能を有するものであること。
 (2) 簡易型ADAS機能は、車速の利用を必須としない。

6.1.2 車線逸脱警告機能
 (1) 車線を逸脱するおそれがあると車線逸脱警告機能が検知したときは、警告音によりユーザーに警告を行うものであること。ただし、走行速度が60km/h未満の場合は、車線逸脱を警告することを要しない。
 (2) 車線逸脱警告機能の動作は、ユーザーの意志によりON/OFFが可能な構造とすることができる。
 (3) 車線逸脱警告音は、車線逸脱警告機能の動作がONのとき、同一製品の他の警告音と明確に異なるものであること。
 (4) 車線逸脱警告表示器を備える場合は、車線逸脱警告機能の動作がONのとき、車線を逸脱するおそれがあることを表示するものであることを推奨する。

6.1.3 車間距離警告機能
 (1) 危険な車間距離であると車間距離警告機能が検知したときは、警告音によりユーザーに警告を行うものであること。ただし、走行速度が40km/h未満の場合は、車間距離を警告することを要しない。
 (2) 車間距離警告機能の動作は、ユーザーの意志によりON/OFFが可能な構造とすることができる。
 (3) 車間距離警告音は、車間距離警告機能の動作がONのとき、同一製品の他の警告音と明確に異なるものであること。
 (4) 車間距離警告表示器を備える場合には、車間距離警告機能の動作がONのとき、危険な車間距離であることを表示するものであることを推奨する。

6.1.4 簡易型ADAS機能の必須表示要件

6.1.4.1 車線逸脱警告機能について、動作条件及び具体的な警告方法を記載したものであること。特に、動作速度範囲については、明確に記載すること。

6.1.4.2 車間距離警告機能について、動作条件及び具体的な警告方法を記載したものであること。特に、動作速度範囲については、明確に記載すること。

6.2 発展型ADAS機能

6.2.1 発展型ADAS機能は、次の要件を満たすものであること。
 (1) 発展型ADAS機能は、車線逸脱警告機能及び車間距離警告機能を有するものであること。なお、必要に応じ、衝突警報機能を有するものとすることができる。
 (2) 発展型ADAS機能は、車速を常時利用するものであること。
 (3) 車両情報の設定が必要な場合には、確実に設定を完了していることが確認できる手段を有するものであること。

6.2.2 車線逸脱警告機能
 (1) 車線逸脱警告機能は、車線に対して車両の前輪外側が約20cm以内に近付いたときに警告音によりユーザーに警告を行うものであること。
 (2) 車線逸脱警告機能の動作は、常に動作可能な状態にあるものであること。
 (3) (1)及び(2)の規定にかかわらず、次の場合は、車線逸脱を警告することを要しない。
   走行速度が60km/h未満の場合
   ウインカー操作がされた場合
   天候や路面状況により車線の認識が困難な場合
 (4) 車線逸脱警告音は、同一製品の他の警告音と明確に異なるものであること。
 (5) 車線逸脱警告表示器を備える場合は、車線を逸脱するおそれがあることを表示するものであること。

6.2.3 車間距離警告機能
 (1) 危険な車間距離であると車間距離警告機能が検知したときは、警告音によりユーザーに警告を行うものであること。ただし、走行速度が40km/h未満の場合は、車間距離を警告することを要しない。
 (2) 車間距離警告機能の動作は、常に動作可能な状態にあるものであること。
 (3) 車間距離警告音は、同一製品の他の警告音と明確に異なるものであること。
 (4) 車間距離警告表示器を備える場合には、危険な車間距離であることを表示するものであること。

6.2.4 衝突警報機能
 (1) 衝突警報を有する場合には、JIS D0802-2015「高度道路交通システム-前方車両衝突警報システム-性能要求事項及び試験方法」及びISO15623-2013 ”Intelligent transport systems – Forward vehicle collision warning systems – Performance requirements and test procedures” に準ずるものであること。

6.2.5 発展型ADAS機能の必須表示要件
 (1) 車線逸脱警告機能について、動作条件及び具体的な警告方法を記載したものであること。特に、動作速度範囲については、明確に表記すること。
 (2) 車間距離警告機能について、動作条件及び具体的な警告方法を記載したものであること。特に、動作速度範囲については、明確に表記すること。

6.2.6 外部機器接続要件

6.2.6.1 発展型ADAS機能を持つ外部機器との接続により、内蔵機能と同等の機能を実現する場合には、以下の要件を満たすものであること。

6.2.6.1.1 接続方法
 (1) ドライブレコーダー側には、外部機器との接続ポートを設けたものであること。

6.2.6.1.2 接続の堅牢性
 (1) 接続口は、容易に外すことができないコネクター方式が望ましい。

6.2.6.1.3 入出力データ仕様
 (1) 入出力データ仕様は、以下によるものであること。
 (ア)アナログ信号:アナログ信号によるトリガー
 (イ)CAN信号:ISO11898ハイスピードCAN又はISO11519ロースピードCAN

6.2.6.1.4 警告音及び画面表示
 (1) 車線逸脱警告機能については、6.2.2(4)及び(5)に準ずるものであること。
 (2) 車間距離警告機能については、6.2.3(4)及び(5)に準ずるものであること。

6.2.6.1.5 表示要件
 (1) 6.2.5に準ずるものであること。

6.3 事故自動通報機能(事故自動通報用通信型ドライブレコーダーのガイドライン)

6.3.1 事故自動通報機能の要件
 (1) 事故自動通報機能に用いるドライブレコーダーは、事故自動通報用通信型ドライブレコーダーであって、6.3.2に規定する要件を満たすものであること。
 (2) 事故自動通報機能は、事故自動通報用通信型ドライブレコーダーからコールセンターなどに適切に通報が行われることにより始めて機能するものであるため、交通事故などの発生時に事故情報をコールセンターなどに自動通報することができるよう、事故自動通報相手先機関(損害保険会社など)又は当該機関のコールセンターなどと適切な契約がなされることを前提としたものであること。
 (3) 救急自動通報用通信型ドライブレコーダーの事故自動通報機能は、認定NPO法人救急ヘリ病院ネットワークなどが運用する画像活用型救急通報システム(第2種D-Call Net)に連携し、事故情報をコールセンターなどから消防機関、基地病院などに通報することができるものであること。

6.3.2 事故自動通報用通信型ドライブレコーダーの要件
(1)事故自動通報用通信型ドライブレコーダーは、交通事故などの衝撃を検知して、事故自動通報相手先機関又は当該機関のコールセンターなどに対し、自動的に信号、音声、及び映像を送信する機能を有するものであること。この場合において、衝撃を検知する加速度は、交通事故などの発生を通報するのに必要十分な値に設定されたものであること。
(2)事故自動通報用通信型ドライブレコーダーは、SIM(Subscriber Identity Module)などを搭載することにより、ドライブレコーダー本体において通信機能を有するものであること。
(3)事故自動通報用通信型ドライブレコーダーは、信号、音声、映像及び手動通報の機能について、6.3.2.1から6.3.2.4までの要件を満たすものであること。

6.3.2.1 信号関係機能
 (1) 次の信号を検知し、送信することができるものであること。この場合において、信号の送信は、交通事故などの発生後、60秒以内に完了することを推奨する。ただし、 (2)に定める任意入力の通知事項については、(2)のただし書きの規定に基づく登録により識別できる場合は、信号を送信することを要しない。
 (ア) 交通事故などの発生時の速度
 (イ) 交通事故などの発生時の衝撃に係る3軸以上の加速度
 (ウ) 交通事故などの発生時の緯度及び経度に係るGPS信号
 (ヱ) 交通事故などの発生時までの走行軌跡に係るGPS信号
 (オ) その他別紙「事故自動通報連携要件」通知事項に記載する信号
 (2) 交通事故などの発生時にコールセンターなどに車両情報を通報するため、自動車などの使用者又は所有者が任意入力の通知事項(車両の種類、車体の色、登録ナンバー、車体番号、燃料の種類、契約者の氏名及び呼び返し用電話番号をいう。)をドライブレコーダー設置時に任意で当該ドライブレコーダー端末に入力できる機能を有するものであることを推奨する。ただし、6.3.1(2)に定める事故自動通報相手先機関又は当該機関のコールセンターなどに車両の種類などをあらかじめ登録することにより車両情報を識別できる場合を除く。
 (3) コールセンターなどとのAPI(Application Programming Interface) 連携機能を有するものであること。

6.3.2.2 音声関係機能
 (1) 交通事故などの状況をコールセンターなどが確認するため、コールセンターなどのオペレーターと乗員の間で会話ができる通信機能を有するものであること。この場合における音声品質については、コールセンターなどとの間で適切な意思疎通が可能なものであること。
 (2) コールセンターなどとの通信が途切れた場合において、再接続するための機能を有するものであることを推奨する。

6.3.2.3 映像関係機能
 (1) 交通事故などの発生時に衝撃を検知した場合において、検知前10秒間以上、検知時及び検知後5秒間以上の映像を記録し、コールセンターなどに交通事故などの衝撃検知後速やかに事故状況を判断するために必要な映像を送信する機能を有するものであること。この場合において、映像の送信は、交通事故などの衝撃検知後、60秒以内に完了することを推奨する。

6.3.2.4 手動通報機能
 (1) 衝撃を検知できない軽微な交通事故や健康の異常に係る通報が必要であるときなどの場合に手動で通報するため、ボタンなどの押下によりコールセンターなどに通報できる機能を有するものであること。

6.3.3 事故自動通報用通信型ドライブレコーダーの必須表示要件
 (1) 交通事故などの発生時における救助活動のため、個人情報を含む信号、音声、映像の情報がコールセンターなど(救急自動通報用通信型ドライブレコーダーにあっては、コールセンターなど及び消防機関、基地病院など)に送信される可能性があることを記載したものであること。
 (2) 事故自動通報用通信型ドライブレコーダーを購入して設置した場合において、交通事故などの発生時に事故自動通報をコールセンターなどに通報する機能を利用するためには、事前に事故自動通報相手先機関・コールセンターなどと適切な契約が締結されることが必要であることを記載したものであること。
 (3) 事故自動通報用通信型ドライブレコーダーの購入及び設置だけでは、交通事故などの発生時にコールセンターなどに通報されないことを記載したものであること。

以上